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店長コーナー

吉田 祐直

朝は暗いうちから起きて、すぐ畑へ向かいます。
毎日、ふたつある果樹園をくまなく巡り、仕事します。
自然は待ってくれないので、毎日大忙し!
良いりんご作ることに一生懸命です。

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かどしげ農園の四季 春 四季


開花期:5月

3
盛岡の春。
桜の開花に遅れること約1週間。りんごの花が一斉に開き始めます。

りんごの花
しっかりとした花弁の、白い五弁の花。
それが林檎の花です。

「こんなに美しいとは…!」
「斜面一面のりんごが花をつけると、春らしい陽気と相まって幻想的!」
「蝶や蜂が舞い、なんて幸せな景色!」
と、東京から来た友人たちは口を揃えて言います。
しかし、清楚で美しい花を楽しむ余裕は、りんご農家にはありません。
花をそのままにしてしまえば、全て結実ということになるのですが、もし、そのようにしたら、実の一つ一つはさくらんぼのように小さいものとなってしまうでしょう。

美味しく、しっかりした実をつけてもらう為には、花を選ばねばなりません。
ある程度の花のブロックの中から、実をつける花を選び、それ以外の花は摘むのです。

この作業を「花摘み」といいます。


マメコバチ、という可愛い名前、聞いたことはありますか?

これは、りんご農家にとって大事な働きをしてくれる蜂の名前です。
とても小さい蜂で、攻撃性が極めて低く、手でぎゅっと握ったりしない限りは人を刺さない蜂です。

4 この写真が、マメコバチのすみか。
りんごの木箱に、葦を積み重ねただけのシンプルなものですが、この1本1本の葦の中にマメコバチは住んでいます。

マメコバチが集めているのは、花粉です。
おなかに花粉を保持する特殊な毛があり、そこに花粉を付けて集めます。
それを巣に持ち帰り、花蜜と花粉を練り団子状のものを作ります。

葦の内部に卵を産み付けては、その団子で塞ぎ…と葦の中にいくつもの小部屋を作り、子孫を増やしてゆくのです。

花から花へ飛び回り、花粉を集めるマメコバチ。
その働きが、林檎の受粉を助けてくれます。

かどしげ農園にも、かつては、人工授粉をしている時期もありました。
人工受粉機というものを使ってみたり。
もっと遡れば、すべて手作業での行った時期もあります。花粉を採集し、一本一本の樹を回っての受粉作業。
昼夜も無く働き続けなければならぬほど、大変な作業でした。

そうした人の苦労を軽減してくれるマメコバチ。
大切な大切な助っ人です。

このマメコバチ、人が完全飼育しているわけではありません。
毎年、春になると、生れてきた蜂が、リンゴ園を飛び回り、花の季節が終わるとどこへ行くのか、見えなくなります。
翌春には、また花が咲く頃、巣箱から元気に飛び出して来ます。
自然の中に共生しているのです。

2さて、話を「花摘み」に戻しましょう。
これが受粉を終えた花です。

この写真の中央の花は、がくの部分が閉じて立ってきているのが分かりますか?(クリックで大きな画像が開きます)

この現象を「がく立ち」といい、うまく受粉が進んでいることの現われです。
花が咲くときに、がくは開きますが、咲き終わるとまた閉じて立ってゆきます。

この写真の場合は、この中央のものを残し、後は全て摘み取ることになります。
これが「花摘み」です。

そうすることで、栄養分が残した一つに集中して、美味しくて充実した果実になります。

この時期を逃してしまうと、せっかくの養分が分散してしまい、良い実が取れなくなってしまいます。
ということで、花の咲く時期も私達はとても忙しいわけです。